Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
蝋燭の火を近くへ寄せてながめると、正に人間の形を備えているではないか。
大きさは、拇指の頭ほど。
雀右衛門は、それを水で洗わせた。付いていた汚物が落ちると、それが黄金色に燦然として輝いた。
試みに指を触れると、その感じは金属のようにして、堅きこと玉の如しである。衣類から足袋、顔形から眉髪に至るまで、小みどりの婉姿にそっくりそのままである。
あまりの珍事に雀右衛門は、それを掌に載せて眼を瞠ったまま、しばし言葉がなかった。しかし、すぐわれに返って、
古今未曾有の怪事であるぞ。あの雌狸をここへ連れ来たり一刻も早くあれも殺してしまえ。
夜半から、はじまった仙公騒動であったから、もう黎明近かった。やがて、東雲がうすぼんやりと、淡色を彩った。
小みどりを、同じ白州へ引き据えた。友禅模様の、めざむるばかりにあでやかな長着、緋縮緬の長襦袢が、いましめられた姿の裾からこぼれんとする。恰も、雨にうたれた牡丹が、まさに崩れんとする風趣である。
その方は、狸であろう。
と、雀右衛門は小みどりを、にらみつけたのである。それをきいて小みどりは、あまりの風変わりの訊問なのに、わが耳を疑う表情で、雀右衛門を仰ぎみた。