Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
五
私は、蹌踉として日が暮れてから、わが家へ帰ってきた。
五
家へ入ると、家内は不在であった。四人の子供が火のない狭い座敷の真ん中に、寒さうに丸くなって寄り添うて座っていた。
おかあさんは、と問うと十二歳になる総領の娘が、おかあさんは夕方用事があるといって、赤ちゃんをおんぶして街へ行きました。と、答えるのである。夕飯は、と問うと、
「まだです」
と、九歳になる男の子が答えた。私は、暗然としたのである。地下足袋をぬいで、私は四人の子供の車座のなかへ割り込んで、黙って座った。それから二時間ばかりして家内は、夜も初更になってから、さみしい姿で帰ってきた。それでも元気な声で、土間から、
「皆さん、お待ちどうさま」
と、子供らにいった。
家内は昨日の夕方も、今日の夕方も、物を欲する子供らの声を、鬼のような心になって抑えながら、ひたすら私の帰るのを待っていたのである。だが、とうとう私を待ちきれなかった。
家内は、黄昏が近づいてから、街の方へ出て行った。私のところへ嫁にくるとき、今は亡き母がこれはわたしであると思ってくれといって与えた、七珍の古い丸帯を風呂敷に包んで質屋をたずねた。