Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
泡盛物語
一
一
私は、昭和のはじめ、世の中が一番不景気の時代に失職してしまった。失職当時は幾分の余裕はあったのであるけれど、食を求めて徒食している間に、持ち金悉くをつかい果たしてしまったのである。
多くの家族を抱えて、職のないことは胸が詰まる思いである。東京にはあきらめをつけた。そして、東北地方のある小さな都会へ流れて行ったのである。そこで、地方新聞の配達をはじめた。しかし、百五十部か二百部の小新聞を購買し、これを配達していたのでは、到底七人の家族を支えきれるものではない。衣類、時計、書籍まで売り食いし、とうとう新聞の集金まで手をつけてしまった。新聞配達は、それでおしまいになった。
また家族を纏めて、そこから五十里ばかり隔てた次の都会へ流れて行った。しかし、市中に住むということは、生活費が嵩むおそれがあるので、そこから一里ばかり離れた農村に行き、ささやかな家を借りて住んだのである。私は、毎日毎日職探しに市中へ出て行った。
なにしろ浜口内閣の不景気政策が、充分に効き目を現わした後の世の中であったから、産業が不振に陥って、幾日も幾日も市中をさまよい歩いたけれど、人を求むる会社とか商店とかいうのは全く見つからなかったのである。