Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
はじめてのほどは、砂糖など平常用いると、山人の自然生活を損なうものであるといって配給を拒絶した。海の魚など、おっかねえと叫んで手も触れなかった。
海の魚といえば、我々上州の中央の平野に生まれたものでも、大都会である前橋ではじめて電灯ちう怪物を、腰を跼めて見物するところまでは、蒲鉾は板にはり付いて泳いでいるもの、鰊は頭がなく乾いたままで生活するもの、鮭の塩引きは切り身のままで糸に、ぶら下がってくるものと考えていた程であるから、南会津に近い山間の人達や、裏秩父に隣住む山人が、海の魚を気味悪く思うのも、まことに無理ない次第である。
そこで、私も一ヵ月半ばかり前、生鰊を半分配給を受けたのであるが、これは私の村にだけでなく、殆ど全県下へ同時に配給したのだそうである。してみると、生鰊の量は、莫大なものとなろう。
米でも魚貝類でも、食うと食わざるとを問わず、食う習慣と食わざる習慣を持つとを問わずこれを一切平等に配給する、骨の折れることではある。
ひとりこれは、群馬県ばかりではない。飛騨、信濃、陸奥そのほかの、山国へ行っては皆同じことだ。従来の土地の風とか慣わし、美俗醇風に重きを置かないで、無闇矢鱈と配給したのでは、ますます物が足りなくなるばかりか、運輸、交通も混乱する。