Japanische Klassiker mit Furigana
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme
青年らしく肥った茶色の皮膚は、次第々々に痩せて顔が蒼ざめて行く。母は一粒種のわが子のからだの衰え行くのを見て、ひどく心痛して明け暮れ、その原因について尋ねたけれど、裕八郎は黙してなにも語らない。鼻下や顎に、無精髭さえ生えてきた。日ごろ身綺麗にするのを好んだが、その気持ちも忘れたのであろうか。
そのまま、一、二年過ぎた。母は、嫁を迎えてやれば息子の気持ちが子供の時のような明朗に返るのではあるまいかと考えて、結婚談を持ちだした。ところが、裕八郎はこれに反対するのでもなければ賛成するのでもなかった。ただ黙々として、母が如何なることをいっても、首で頷くばかりであったのである。
明治十三年晩春、利根の下流の武州八斗島から、ふゆという嫁を迎えた。裕八郎二十三歳、ふゆは二十一歳の愛らしい花嫁であった。
翌年の初夏には、可愛らしい丸々と肥った坊やが生まれたのであるから、別段夫婦仲が悪かったわけではない。母のたみは、初孫を見て喜んだ。これで家族が四人になったと近所の人々を招いて賑やかな振舞ごとまで催したのである。それと反対に、裕八郎は子供が生まれてから一層、性格が暗くなってきたように思う。