Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あわもりものがたり

『たぬき汁』以後

佐藤 垢石

Lesen Sie 『たぬき汁』以後 (あわもりものがたり) von 佐藤 垢石 (さとうこうせき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 118.470 Zeichen · 244 Bildschirme

Aozora Bunko

なんと勇ましく、命がけのことではないか。

それにつけて、想いだすのは私の意気地なさである。先年、奥利根川の支流楢俣沢へ岩魚釣りに行ったことがある。一夜を渦の小夜温泉であかし、翌朝、宿をたって尾瀬ヶ原に通ずる崖路を、竿を舁いで一人で登って行った。朝は、昧暗から次第に薄明に目ざめて行くのである。淡墨の霧の底に、瀬音ばかりを響かせていた楢俣沢は、夜が明けると白い河原を渓の両側に展げているのだ。私は、歩きながらふと、何十丈か崖下の河原に眼をやった。すると大きな雌熊が仔熊二匹をつれて、岩の下の沢蟹を掘っては食い、掘っては食いしているではないか。その途端、私の腰はへなへなと、萎えてしまったのである。

つまり、腰が抜けたのだ。熊の親子は、崖の上の山路に私が這いつくばっているのを知らぬらしい。なおも、悠々と蟹を掘っている。私は、熊を横眼で睨みながら、竿を投げだし、四つん這いに這って坂を這いはじめたが、うまく腰が動かない。ちょうど脚をかがめて寝た夜の夢に、魔物に追いかけられるが脚が痺れて意のままとならず、危なく生命を奪われようとすることがある。まさに同じ恰好だ。

も一つある。