Japanische Klassiker mit Furigana
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ちくしょうだに
ちくしょう谷
山本 周五郎
Lesen Sie ちくしょう谷 (ちくしょうだに) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.788 Zeichen · 138 Bildschirme
五
――登りきったところは、百坪ばかりのなにもない空地で、隅のほうに枯れた杉の木があり、その枝に裸の女が吊されていた。
杉の枯木のこちらに、男や女が七八人立ち並び、一人の逞しい男が諸肌ぬぎになって、革鞭のような物で裸の女を打っていた。――まばゆいほど白く、きめのこまかな女の肌に、鞭の痕が赤く幾筋となく印され、中には皮膚が裂けて、血の滲んでいるのが見えた。手首を縛って吊されている女は、打たれるたびに悲鳴をあげ、躯を左右へ振ったり、吊された繩を中心にぐらっと廻ったりした。豊かな乳房や、まろやかに張りきった腹部が激しく波を打って揺れ、解けた髪の毛が生き物のように、女の顔を包んだり、ばらばらに振り乱されたりした。
「よせ」と隼人は静かに呼びかけた、「――無法なことをするな」
五
そこにいる男女がこっちへ振返った。どれが男でどれが女か、若いのか年をとっているのか、殆んど見分けがつかなかった。見分けをつけている暇もなく、女を鞭打っていた半裸の男が、ゆっくりとこっちへ歩みよって来た。背丈は五尺三寸そこそこであるが、肩幅が不自然なほど広く、黒い胸毛に掩われた胸は、筋肉が瘤のように盛上っていた。