Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
「次郎ぼん――かいな」
「そや」
「ほんまに次郎ぼんか」
他吉の眼はちょっと細まった。
「なにがうちが嘘いうもんかいな」
君枝は昨日次郎ぼんにあったいきさつを話して、
「――これ、次郎ぼんが引伸してくれはってん」
マラソン競争の写真を見せると、他吉もその写真のことは知っていて、
「こらまた、えらい大きに伸びたもんやなあ。ほんまに、これ次郎ぼんが引伸したら言うもんしよったんか。ふうん。ほな、次郎ぼん、もう一人前の写真屋になっとるんやなあ。――銭渡したか」
「そんなもん受け取りはるかいな」
「なんぜや? なんぜ受け取れへんねん? 商売やないか。うちだけただにして貰たら、済まんやないか。きちんと渡しときんかいな。どうせ、口銭の薄い商売やさかい……」
「何言うてねん? なにも写真屋が商売とちがう。写真は道楽にやったはるだけや」
君枝が言うと、他吉は、
「道楽……?」
と、聴き咎めて、
「――ほんなら、何商売して食べとんねん、あいつは……?」
「潜水夫したはんねん」
次郎から聴いたことをすっかり話すと、他吉は唸った。
「えらい奴ちゃ。人間は身体を責めて働かな嘘や言うこと忘れよらん。