Japanische Klassiker mit Furigana
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アパートのさつじん
アパートの殺人
平林 初之輔
Lesen Sie アパートの殺人 (アパートのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.579 Zeichen · 39 Bildschirme
「ええ、とても熱心よ。それに、無邪気で、人がよくって、親切で、正直で、飾り気がなくって、男性的で、わたし大好きよ、ああいう男は」
みさをがやけにその男のことをほめるので、私は弱りました。一体、自分の前で別の男のことをほめられるということは、私のように、自信の強い人間にはとても苦手なんです。その点私は女のような性質をもっていると自分ながら思ってるのです。しかもみさをの言葉は、いちいち私の弱点をついてるんですからね。向こうじゃそんなつもりじゃなかったのかもしれないけれど、少なくも私にはそうとれるのです。ことに男性的という言葉で他人のことをほめられるのが私にはいちばん閉口でした。なぜって、ご覧のとおり私は、こう言っちゃ何ですが色男タイプの方で、男性的じゃないんですから。
「うるさいもんだね、女優なんてしょうばいは、ああいう男にいちいち相手になっていなきゃならんとなると」
私はこん度は、まるでそんな男のことは歯牙にもかけていないといった風に高飛車に出ました。彼女は蜜柑を食べながら私の顔もみずに言いました。
「でも面白いこともあってよ。いやいや相手になっているんだとうるさいけれど、すきで、面白くて相手になっている分にゃ、かえって気ばらしになっていいことよ」