Japanische Klassiker mit Furigana
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アパートのさつじん
アパートの殺人
平林 初之輔
Lesen Sie アパートの殺人 (アパートのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.579 Zeichen · 39 Bildschirme
莨だってあんまり量が多過ぎやしない? そんなにしょっちゅうふかしどおしじゃ?」
私はベッドの端から腰を上げて、無言のままでずかずかと枕元の方へ歩いてゆきました。そして、両腕をのばして、彼女の白粉のはげた頸のあたりをぎゅっと抱きしめようとしました。
すると今まで上ずった眼で宙を見つめていた彼女は、急に気がついて、
「いけない!」
と鋭い声で叫んで、私をはげしくはねのけました。その拍子に彼女の裸体の上半身が、鼠色の毛布の中からにゅっと出たのをはっきりおぼえています。
私は驚いてしまいました。腹が立つひまもなく、これは変だと思いました。こんなに頑強に彼女が私を追っ払ったことはなかったのです。いつでも私のするままにさせて逆らったことのなかった女です。それが今日はどうしたものか、まるで毛虫か何かのように、私の手が彼女の肉体に少しでも触れるのを許さないのです。汚いもののようにはらいのけるのです。
でもしばらくすると彼女はあんまりだったと思いなおしたのか、あっけにとられている私を見て、
「保ちゃん、今日はもう行ってね」
と言ったかと思うと、すぐに頭から布団の中へもぐりこんでしまいました。