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Japanische Klassiker mit Furigana

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グースベリーのうれるころ

グースベリーの熟れる頃

宮本 百合子

Lesen Sie グースベリーの熟れる頃 (グースベリーのうれるころ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.041 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

一月ほど日が立つ間には、川で雑魚をすくって居る娘も見たし野原の木の下で小さくて美くしい本によみふけって居るのも見たけれ共、娘が一人で居れば居るほどその傍を通る時は知らず知らずの間に早足にいそいで居るのだった。

雨のしとしとと降って山々がポーッとして居た日に仙二は何心なく小さいうちから行きなれたたった一人ぼっちで住んで居るそう富かでないお婆さんの家へ行った。椽側に赤い緒の足駄と蛇の目が立てかけてあるのを見つけた。

それでも何の気なしに中に入るとうす暗い中に婆さんと向いあって思い掛けず娘が丸っこい指先で何かして居た。

仙二は二足ばかり後じさりした。

帰ろう!

稲妻の様にそう思うと、お婆さんは眼鏡をふきながら、

仙ちゃんかえ、お入りよ

孫をよびかける様に云った。

仙二は赤い顔をしながら部屋の隅にすわった。

娘は絶えず丸あるい声でいろいろの事をとりとめもなく話しながら人形の着物を縫って居た。

まっ赤な地へ白で大きな模様の出て居る縮緬の布は細い絹針の光る毎に一針一針と縫い合わせられて行くのを、飼い猫のあごの下を無意識にこすりながら仙二は見て居た。

自分の居るのをまるで知らない様に落ついた眼つきで話したい事を話して居る娘の様子を見て居ると重い重いしめられる様なわけのわからない悲しさが仙二の胸に湧き出して来た。