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Japanische Klassiker mit Furigana

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パノラマとうきだん

パノラマ島綺譚

江戸川 乱歩

Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

お前方はちっとも心配なぞすることはないのだよ。お前のいとしい主人は、今幸福の絶頂にあるのだから」

千代子の年とった乳母が主人の安否を気遣って、態々沖の島へ彼女をお迎いにやって来た時、廣介は、島の地下を穿って建築した壮麗な宮殿の玉座に坐って、まるで一国の帝王がその臣下を引見する様な、おごそかな儀礼を以て、この昔者の老婆を驚かせました。老婆は廣介の美しい言葉に安堵したのか、それとも、その場の光景の物々しさにうたれたのか、返す言葉もなく引下る外はなかったのです。

凡てがこの調子でありました。千代子の父には重ね重ねの莫大な引出物、その外の親類縁者には、あるものには経済上の圧迫、あるものにはその反対に惜しげもない贈物、それから官辺へのつけ届けなども、角田老人の手によって、抜かりなく実行されていたのです。

一方島の人々は、千代子女王の姿を垣間見ることさえ許されませんでした。彼女は昼も夜も、地下の宮殿の奥深く、廣介の居間の裏側の、重いとばりの蔭にかくれ、何人たりとも、その部屋に入ることを禁ぜられていたのです。でも、主人の異常な嗜好を知っている島の人々は、定めしそのとばりの奥には、王様と女王様丈けの、歓楽と夢の世界が秘められているのであろうと、ニヤニヤ笑いながら噂し合う位で、誰一人疑いを抱くものとてもありません。