Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
十
そうして、凡ての見極めをつけるまでは、意識の朦朧を装って、口を利く危険をさけようとしたのです。
それから、彼が菰田家の奥座敷へ運び込まれるまでのいきさつは、くだくだしくなりますから、省くことにしますが、町からは菰田家の総支配人其他の召使、医者などをのせた自動車が駈けつけ、菩提寺からは和尚や寺男が、警察からは、署長を始め二三の警官が、その他急を聞いた菰田家縁故の人々は、まるで火事見舞かなんぞの様に、次から次へと、この町はずれの森を目がけて集まって来る始末でした、附近一帯は、戦争の騒ぎで、これを見ても、菰田家の名望、勢力の偉大なことが、十分に察せられるのでありました。
彼は、それらの人々に擁せられて、今は彼自身の家であるところの、菰田邸につれて行かれる間、それから、そこの主人の居間の、彼が嘗て見たこともない様な立派な夜具の中に横ってからも、最初の計画を確く守って、唖者の如く口をつぐんだまま、遂に一言も物を云おうとはしませんでした。
十
彼のこの無言の行は、それから約一週間というもの、執拗に続けられました。その間に、彼は床の中から、耳をそばだて、目を光らせて、菰田家の一切の仕来り、人々の気風、邸内の空気を理解し、それに彼自身を同化させることを努めたのです。