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Japanische Klassiker mit Furigana

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パノラマとうきだん

パノラマ島綺譚

江戸川 乱歩

Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は当の死体を見る前に、已に、先ずその異臭にたじろがないではいられませんでした。

墓場という様なものを、余り怖がらない彼は、それまで存外平気で仕事を続けることが出来たのですが、さて棺の蓋を取って、もう一つの彼といってもいい、菰田の死骸と顔を合せる際になると、始めて、何かこう、えたいの知れぬ影の様なものが、魂の底からじりじりと込み上げて来る感じで、ワッと云って、いきなり逃げ出し度い程の恐怖に襲われました。それは決して、幽霊の怖さなどではなく、もっと異様な、どちらかと云えば現実的な、それ丈けでは到底云い尽せないのですけれど、例えば暗闇の大広間で、たった一人、蝋燭の光で自分の顔を鏡に写す時に似た、それの幾層倍も恐しい感じでありました。

沈黙の星空の下に、薄ぼんやりと沢山の人間が立っている様な石塔、そのまんなかに、ぽっかりと口を開いた、まっ黒な穴。薄気味の悪い地獄の絵巻物に似た、自からその画中の人になった気持です。そして、その穴の底の、一寸見た位では識別出来ぬ暗さの中に、横わっている死人は、外でもない彼自身なのでありました。この死人の顔を識別出来ぬという点が、一層恐しさを増すのでした。