Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
穴の底に、ボーッと白く経帷子が見え、そこから生えている死人の首は、闇に溶け込んでいて、併し、それ故に、どんなに怖くも想像出来るのです。ひょっとしたら、偶然にも、彼の計画が讖をなして、菰田がまだ本当に死んでいず、彼が墓をあばいたばっかりに、生き返りつつあるのかも知れません。そんな馬鹿馬鹿しい事まで妄想されるのです。
彼は身内から込み上げて来る戦慄を、じっと圧えつけながら、最早殆ど空の心で、穴の縁に腹這いになると、その底の方へ、両手をのばして、思い切って、死人の身体を探って見ました。最初触ったのは、髪を剃った頭部らしく、一面にザラザラと細い毛が感じられました。皮膚を押して見ると、妙にブヨブヨしていて、少し強く当たれば、ズルリと皮が破れ相なのです。その無気味さにハッと手を引いて、暫く胸の鼓動を沈めてから、再び手を延して、今度触ったのは、死人の口らしく、固い歯並びが感ぜられ、その歯と歯の間に咬み合せてあるのは、恐らく綿なのでしょう、柔かくはあっても、腐りかかった皮膚のそれとは違うのです。彼は少し大胆になって、猶も口の辺を探り廻っていますと、妙なことには、菰田の口は生前のそれの十倍もの大きさに開いていることが分りました。