Japanische Klassiker mit Furigana
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プウルのかたわらで
プウルの傍で
Lesen Sie プウルの傍で (プウルのかたわらで) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.843 Zeichen · 34 Bildschirme
三
腕力がないということが、現在の彼にとって如何に致命的なことであるかを、彼は考えて見た。その前には、学校の成績の如きものは、何等の価値もないのであった。それは、どうにも口惜しいことであった。しかも、それは彼にとって、どうにもならないことであった。涙が再び彼の頬を流れた。眼鏡は彼の顔のすぐ前に落ちていた。彼は、背中が陽にあたって暑くなっているのを感じた。石垣の間から、とかげがちょろ、ちょろと出てきて、彼の鼻の先まで来ると、不思議そうに、その小さな瞳をくりくり動かして、彼を眺めた。それから、また、茂った草の間にはいって行った。はげしい草いきれと、土の匂の中に顔を押付けたまま、彼は長い間、泣いた。………
三
ラグビイの選手達はもうみんな引揚げてしまって、運動場には誰もいなかった。二本の棒に横木を渡したゴオルだけが寂しく残っていた。日はすでに落ちて、旧ふらんす領事館と、その森の、黒い影絵がくっきりと黄色い空を染抜いていた。外の電車通りと運動場とを隔てる囲いには、昔の城壁が利用されていた。遠い運動場の隅の入口も、やはり、朱と黄とで塗った、古い朝鮮の宮殿の門であった。