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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんりょうきょう

三稜鏡

佐左木 俊郎

Lesen Sie 三稜鏡 (さんりょうきょう) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.347 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

瞬間、私はこっぴどく撲りつけられた。博士が、何時の間にかその部屋の中へ這入って来ていて、突然に私を撲りつけたのである。そして博士の背後には、曾つてこの研究室の中へは這入って来たことの無い病院詰の若い医者達が、幾人も立っていた。私は、頭がくうんと痺れて来て、怖ろしい顔をしながらそこに立っている博士や若い医者達の喚き声を、夢現の中の出来事のように、遠くの遠くの方に聞きながら、構成派の絵のように複雑してぐるぐると廻っている風景の中へばたりと卒倒して了った。

私が再び意識を取戻してふらふらと立上って見ると、博士や若い医者達は、暗い顔をして血染れの手術台を取囲んでいた。手術台の上には令嬢の死体がばらばらになっていた。博士は、私が令嬢の首に繃帯を巻いている瞬間を見て、私が、頭部と胴体との接合に成功したものと、早合点をしたのであろう。そして、その嫉妬から私を撲りつけ、直ぐその繃帯を解いて見たのに相違ない。併し、傷は一部分だけなので、博士は、既に傷が癒りかけているものと錯覚したのであろう。そしてその錯覚が、酷く博士を焦燥させ、狂的にしたのに相違ない。そこで博士は、自分も頭部と胴体との接合に成功しようとしてその首を切断し、失敗に終って、次から次と、その死体を切刻んだのであろう。