Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしょうのあに
不肖の兄
豊島 与志雄
Lesen Sie 不肖の兄 (ふしょうのあに) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.889 Zeichen · 39 Bildschirme
――幸福を夢みてる者は恐れは感じないそうだ。
「何でもないんだろう、犬か猫かなんだろう。」
そう云ったのが自分でも何だか変で、僕は火鉢の縁にかじりついた。
「おう寒い。」
「そう。褞袍をあげましょうか。」
「いえ……なに……。」
「じゃあ、何ですね、お前はまた、お酒でもほしいんでしょう。」
「いいえ、今日は……。僕が酒を飲むと、一家の平和を害する、そう悟っちゃったから……。」
「そんな、皮肉を云うものがありますかね。珍らしく今日はいらないと云うかと思うと、すぐお前はそれだからね。」
母の眼は、駄々っ子でも見るような眼付だった。そういう母を僕は好きなんだ。それを、よく知ってる筈のお前は、僕に向って意見めいたことを云ったね。
「兄さんも、お酒が好きなら好きでいいけれど、外で飲むのはお止しなさいよ。家でならいくら飲んだって……誰も何とも云やしないわ。だから早く……。」
「何が……。」
「早くどうにか……。」
「早く……何が早くなんだい。」
「どうにかして……。ねえ、お母さん。」
母がにっこり首肯いたのはよかった。僕はふふんといった気持で煙草を吹かした。そしてお前を追求するのは止めた。