Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Lesen Sie 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.458 Zeichen · 363 Bildschirme
さりとて再び郷里へも帰られず、そこらをさまよい歩いた末に、この国には名ある山々が多いのを幸いに、その山々のあいだを往来して、自分が得意の弓矢をもって鳥や獣を射るのを商売にしていました。
「自分の好きなことをして世を送っていれば、それで結構だ」
こう思って、彼は平気で毎日かけ廻っていました。すると、ここに銭という大家がありまして、その主人は銭翁と呼ばれ、この郡内では有名な資産家として知られていました。銭の家には今年十七のひとり娘がありまして、父の寵愛はひと通りでなく、子供のときから屋敷の奥ふかく住まわせて、親戚や近所の者にも滅多にその姿を窺わせたことがないくらいでした。その最愛の娘が雨風の暗い夜に突然ゆくえ不明になったので、さあ大変な騒ぎになりました。
よく調べてみると、門も扉も窓も元のままになっていて、外から何者かが忍び込んだらしい形跡もなく、娘だけがどこへか消えてしまったのですから、実に不思議です。勿論、早速にその筋へ訴え出るやら、神に祷るやら、四方八方をたずね廻らせるやら、手に手を尽くして詮議したのですが、遂にそのゆくえが判らないので、父の銭翁は昼夜悲嘆にくれた末に、こういうことを触れ出しました。