Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうごくかいきしょうせつしゅう
中国怪奇小説集
岡本 綺堂
Lesen Sie 中国怪奇小説集 (ちゅうごくかいきしょうせつしゅう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.458 Zeichen · 363 Bildschirme
喬生は月のひかりで窺うと、女はまことに国色ともいうべき美人であるので、我にもあらず浮かれ出して、そのあとを追ってゆくと、女もやがてそれを覚ったらしく、振り返ってほほえみました。
「別にお約束をしたわけでもないのに、ここでお目にかかるとは……。何かのご縁でございましょうね」
それをしおに、喬生は走り寄って丁寧に敬礼しました。
「わたくしの住居はすぐそこです。ちょっとお立ち寄り下さいますまいか」
女は別に拒む色もなく、かの小女をよび返して、喬生の家へ戻って来ました。初対面ながら甚だ打ち解けて、女は自分の身の上を明かしました。
「わたくしの姓は符、字は麗卿、名は淑芳と申しました。かつて奉化州の判を勤めて居りました者の娘でございますが、父は先年この世を去りまして、家も次第に衰え、ほかに兄弟もなく、親戚もすくないので、この金蓮とただふたりで月湖の西に仮住居をいたして居ります」
今夜は泊まってゆけと勧めると、女はそれをも拒まないで、遂にその一夜を喬生の家に明かすことになりました。それらの事は委しく申し上げません。原文には「甚だ歓愛を極む」と書いてございます。夜のあける頃、女はいったん別れて去りましたが、日が暮れるとまた来ました。