Japanische Klassiker mit Furigana
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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第一巻 (あかくら) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.056 Zeichen · 223 Bildschirme
門番は睡いので初めの中はブツブツいっていたがね、何しろそれが毎晩のことでしかも半年も続いたから、流石の門番もすっかり感服してしまって、しまいには、「どうも毎晩御勉強で、御疲れでしょう」と挨拶をするようになってしまったものだ。
丁度秋の頃で上野では絵の展覧会があるのにそれを見に行く暇もないのだ。僕は昔京都へ行かないかと勧められた時に、どうも家の都合もあって断ったことがあるが、その時には、「寺田は絵の展覧会が見られないからといって京都を断ったそうだ」という噂が立った位なのだから、あれは実に苦痛だったよ。本多さんときたら土曜も日曜もないのだからね。ところが丁度十一月三日の天長節の朝さ、下宿の二階で目を覚してみたら、秋晴れの青空に暖かそうな日が射しているじゃないか。有難い、今日こそ展覧会を見に行こうと思っていそいそと起きて飯を喰っていると、障子をあけて這入ってくる人があるんだ。見ると本多さんさ。「今日は休日で誰もいなくて学校が静かでいいわな、さあ行こう」といわれるんだ。あんな悲観したことはなかったよ。実にやり切れなかったよ。
私は思わず吹き出してしまった。