Japanische Klassiker mit Furigana
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あかくら
中谷宇吉郎集 第一巻
中谷 宇吉郎
Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第一巻 (あかくら) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.056 Zeichen · 223 Bildschirme
そのような所にある怪物の世界の姿を想像してみることも、この頃のような世情の下に生活している人々には幾分の清涼感を与えるかも知れない。
磯の魚には磯の匂いがあるということはよく聞く話であるが実際判然とした匂いがある。その良い例はかさごであろう。この魚が身体に不相応に大きいあの顎を脹らませて忿ったような顔をしているのはちょっと滑稽である。肉はかなり強靭でそれに脂が濃いために少しばかり口の中で滑べるような感じがする。この機械的の感触は鯛や鱸などの名流の魚にはないもので、これもいわゆる磯の匂いの一つの要素になっているのではないかと思われる。不思議なことには、この魚を喰べると私は妙に日本海の年々に目立ってさびれて行く漁村を思い出すのである。中学時代に一夏をそのような寒村に送ったことがある。難船騒ぎと砂丘の後退とトロール船とに傷めつけられながら、国勢調査の度ごとに何割という人口の減って行く村の中で、よくこの魚を喰べたものである。その時の記憶がよほど深く脳裏に彫みこまれているためらしいのである。
トロール船といえば、この頃のように漁獲の方法が一般に進歩してくると、一度にあまり沢山獲れて困ることがあるらしい。