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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかくら

中谷宇吉郎集 第一巻

中谷 宇吉郎

Lesen Sie 中谷宇吉郎集 第一巻 (あかくら) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.056 Zeichen · 223 Bildschirme

Aozora Bunko

雑記

一 江戸時代のめんこ

一 江戸時代のめんこ

下町に家があった頃である。ある五月の日曜の朝早く、久しぶりで、千葉の稲毛の海岸へ出かけた。

下町の真中に住んでいた自分には、花曇りの頃から引続いて随分鬱々しい厭な時期であった。

丁度この日は珍しくよく晴れていたので、特に感じたのかも知れないが、稲毛の松林の中から、空気の透明な空と海の映えた色とを眺めながら、久しぶりで気持よく海岸に遠くない麦畑の中を歩いて行った。

考えるともなく、この頃読んだもののことなどを思ってみた。何でも、科学的の真理などというものはそのような特殊のものが、ちゃんと別の色と形とをもって、ある所に並べられているように無意識的に考えられている。そのために科学的の考え方が、別の世界のことのように、即ち職業的な科学者や、特に数学などに明るい人々だけに可能なことのように一般に思われている。しかし実際は、そんなものではないという、自分のような者にはかなり都合のよい論旨だったので、一人でいい気持になっていた。

ふと、麦畑の土にまみれて、一個の一銭銅貨大の土器片らしいものに気がついて、立停ってみた。肥料に用いられた魚の骨と石ころと一緒に、同じ一色に土にまみれている。