Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 340.187 Zeichen · 666 Bildschirme
いうが早いか源十郎、片手なぐりにおやじを払いのけておいて、ドンドンまつ川の家の中へ踏みこんでみると!
ちょうど突当りの小廊下に、チラとのぞいた女の影!
「お! お艶ッ、待てッ」
「あれッ!」
同時に両方が声をあげた。その声音は源十郎が夢にうつつに耳に聞くお艶の調子!――だから源十郎、勇士が敵陣へでも進むかっこうで、パタパタと廊下を鳴らして奥へ走った。
と!
すでにそこにはお艶の姿はなく、この狂気めいた武士の闖入に、家の内外に人の立ちさわぐのが、聞こえるばかり……ポカンとした源十郎が、血走った眼でそこらを見まわす!
すぐ前に、桟のほそい障子を閉てきった小部屋がひとつ、何かをのんでいるように妙にシンと静まり返っている。
「此室だナ! うむ、お艶め、これへ逃げこんでひそんでおるに相違ない」
われとうなずくと同時に、源十郎はフト障子に手をかけてサッとひらいた。
「ワッはっはっは」
この、とてつもなく大きな笑い声が、まず源十郎をうった最初のおどろきだった。
何者?……眼を凝らして見る――までもなく。
部屋の中央に、むこう向きに大胡坐をかいて大盃をあおっているぼろ袷に総髪の乞食先生……。