Japanische Klassiker mit Furigana
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かずえはいそがしい
主計は忙しい
山本 周五郎
Lesen Sie 主計は忙しい (かずえはいそがしい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.315 Zeichen · 37 Bildschirme
「あらこんな処へいらしってはいやですわ」
「すぐゆくよ、ほう、いい髪をしているな」彼はこう云いながら側へ寄る、「――ずいぶんみごとじゃないか、これは知らなかった、丈なす黒髪というやつだね」
「もうたくさん、あちらへいらしって」
「じつは頼みがあるんだよ」
「ほうら、たいていそうだと思いましたわ、髪をお褒めなさることなんぞためしがないんですから」
「そんなことがあるものか、それとこれとは別だ、おれは口では云わないがいつでもおまえを自慢にしているんだ、それでなくったって兄妹じゃないか、お世辞をつかって金を借りるなんていう他人行儀なことをするものか」
「お金ですって、――わたくしにですの」
「済まないが五両、ほんの四五日だよ」
「だって、そんなにたくさん何に御入用なんですの」
「それはいろいろあるさ、つまり竹刀を新しく買わなくちゃならないし、稽古着だの面だのもあるし、とにかく四五日すると道場から手当が下るんだ、それまででいいから」
「ねえ主計兄さま」たまきは櫛を措いて兄を見た、「――あなたなにか隠していらっしゃいますわね、この頃はずっとお帰りもおそいし、お金もかなりお遣いなさるし、いいえわたくしはお信じ申しておりますけれど、父上や母上はたいそう心配していらっしゃいますわ、なにかわけがあるのでしたら」