Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にとうしゃにのるおとこ

二等車に乗る男

豊島 与志雄

Lesen Sie 二等車に乗る男 (にとうしゃにのるおとこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.342 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

汽車ですか。」

「勿論電車だよ。」

「大森までお一人ですね。」

「ああ。」

「それじゃ私も、大森まで御一緒に行きましょう。」

「だって君、無駄じゃないか。」

「いいえ、私も一寸用があるんです。」

「そんならいいけれど……。」

「お邪魔じゃありませんか。」

「どうして……。」

「いえ……。本当にお邪魔じゃないんですね。」

「ないとも。いやに念を押すじゃないか。」

そこで高木は、一人でにこにこっとして、切符を買いに駆け出していった。

先生今日はどうかしてるな……と思いながら、私は後からついていった。すると、彼は二等の切符売場の前につっ立っていた。

「おい君、」と私は後ろからその肩を叩いた、「三等でいいじゃないか。」

「いいんです、今日は私に任しといて下さい。」

「金でもはいったのかい。いやに気前がいいね。」

彼は黙って、やがて私へ青い切符を差出した。

「贅沢な真似をするじゃないか。」

「だって、大森までならいくらも違やしません。」

「それはそうだが、僕は一体、桜木町行きのこの電車の二等は嫌いなんだ。汽車ならいい。だがこの線の電車の二等は、変に成金風が吹いて、不愉快なんだ。」

高木は返辞もしないで、一人でにこにこしながら、改札口から歩廊の方へ歩いていった。