Japanische Klassiker mit Furigana
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にとうしゃにのるおとこ
二等車に乗る男
豊島 与志雄
Lesen Sie 二等車に乗る男 (にとうしゃにのるおとこ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.342 Zeichen · 13 Bildschirme
それが品川までくり返されたが、品川から先は、ステッキの頭に釘付にされたようになった。
何かあるんだな……と私は感じたが、素知らぬ顔をして、とうとう無言のうちに大森まで来てしまった。
大森で電車から降りると、高木はすぐに私と別れようとした。
「君も一緒に来ないか。差支えはないから。」
私は少し気になってそう誘ってみた。
「いや、まだ一度も逢ったことがありませんから、またこの次にしましょう。」
「そう。……じゃあ、そこいらでお茶でも飲んでゆこうか。」
「ええ……。」
曖昧な返辞だったが、それでも別段嫌でもなさそうに、彼は私の後について来た。私達は見当り次第のカフェーに飛びこんだ。
カフェーの中は、がらんとしていて、そして変にぼんやりした明るみだった。まだ起き出たばかりらしい女給が、白粉気のない顔にぱっちりした眼をして出て来た。
「何にする。」
「さあ……ビールでも飲みたいけれど……あなたはこれからよそにいらっしゃるんだから……。」
「なに構わないよ。」
豌豆豆と果物とビール、それだけのものが淋しく置かれた冷い卓子を挾んで、私達は暫く黙っていた。それからビールに頭が刺戟されるにつれて、私も彼も次第に心がほどけてきて、話はいつしか先刻からの事柄に及んでいった。