Japanische Klassiker mit Furigana
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ごかいのまど
五階の窓
国枝 史郎
Lesen Sie 五階の窓 (ごかいのまど) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.651 Zeichen · 16 Bildschirme
人もずいぶん通っている。
と、一人の薄汚い男が手早く艶子へ紙片を渡した。
「あっ、こいつは怪しいぞ!」
長谷川は呟いたが、笑いだしてしまった。
(おれもこうなると探偵狂だよ、ひろめ屋がちらしを配ったのさえ、ものものしく見なければならないんだからなあ)
ひろめ屋は彼へもちらしをくれた。
“十五銭均一、紳士の食べる洋食”
こう印刷がされてあった。
“浮世はたいへん暮らしよくなった。いまに見ていろ、十五銭均一で紳士の定食が食べられるから”
なにげなく裏を返してみた。
(これは驚いた、どうしたことだ!)
ちらしの裏に万年筆で、こんなように書かれてあったからである。
“きみが艶子をつけているように、ぼくはきみをつけているよ”
これには相当驚いてよい。
長谷川はじっと字面を見た。
どうしたものか笑いだしてしまった。
(このトリックはもう古いや。外国の下手な探偵作家があきあきするほどくり返し、そうして日本の探偵作家が真似をしはじめたトリックだ。だが、手数はかかっている。だれかが――おれには分かっているが、とにかく艶子をつけているのだ。そうして、おれがつけているのが、ちょっと邪魔っけに思われるのだ。