Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごかいのまど

五階の窓

国枝 史郎

Lesen Sie 五階の窓 (ごかいのまど) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.651 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

19

だが、もちろんざらにある程度さ。悲劇の渦中で知ったので、印象深いというまでさ。大概の女は悲劇中に見ると、別嬪に見えるから面白いよ。ところで、こいつを喜劇中に見ると、それこそもっと別嬪に見える。泣きっ面より笑い顔のほうがいいさ。いちばん困るのは中間性の面だ。言い換えると退屈の面なんだからなあ)

19

未練なくあとへ引っ返そうとして、ふと見ると巨大な建物があった。

(ああ、有名なK病院だな)

がらりと考えが一変した。

(彼女は病院へ入ったはずだ)

きわめて簡単な推理であった。字面の研究に費やして艶子から視線を離したのは、わずか二分足らずであった。艶子がいないと気がつくと、彼は十字路の四方を見た。ばらばらと人は通っていたが、艶子の姿は見えなかった。どこかへ寄ったに相違ない。

(病院へ患者を訪ねたのか、彼女が診てもらいに行ったのか、どっちみち病院へ行ったものとみれば、考え込んでいた彼女の様子がいっそう合理的になる。病院へ行くということは愉快なことではないのだからな。おれも病院へ行ってみよう。おれだってぴんぴん達者のほうではない、艶子の発見が無駄に終わっても、こんな機会を利用して健康診断をしてもらうのも、また大いによいことではないか)