Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
「どうしました? なぜ、黙っているんです」
「疲れたんですわ。あたし、なにか言おうにも、言い表せないんです」
「いや、モザンビイクへ帰れる確実な方法が唯一つあるんです。それは、バイエルタールのところへまた引っ返すことだ。ねえ、あの男は白人の女を欲している」
そういって、ヤンは蜥蜴のような目をよせてくる。足がふらついて、病苦に痩せさらばえた顔は生きながらの骸骨だ。マヌエラはぞっと気味わるくなってきた。おまけに、座間とカークは泥亀を獲りにいっていない。
「僕とあなたがゆきァ、バイエルタールがなんで殺しましょう。そうして観念してあすこにいるうちにゃ、いつか抜けだす機会がきっとくると思うんです。ねえ、あなたの分別一つでモザンビイクへ帰れる。それとも、奴らに義理をたてて、ここで野垂死にしますかね」
「でもあたし、あなたのいう意味がすこしも分りませんけど」
「それがいかん。あいつら二人は、僕が今夜のうちにきっと片付けてみせます。熱がさがったとき、不寝番になるはずですからね」
と言いながら、ヤンはじりじりマヌエラにせまってくる。しかしそれは、どうせ死ぬものなら行きがけの駄賃と、まるで泥で煮つめたような絶望の底の、不逞不逞しさとしかマヌエラには思われなかった。