Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

「あんまり、唐突な話で訳がわからんが」

「それは、こういう訳だ。君ならここを抜けだして人里へゆけるだろう。なまじ、僕ら二人という足手まといがあるばかりに、せっかく、ある命を君が失うことになる。お願いだ。明日、僕らにかまわずここを発ってくれないか」

「そうか」

としばらくカークは呆れたように相手をみていたが、

「なるほど、君らを捨ててゆくのはいと容易いが、しかし、ここに残ってどうするつもりだ」

「悪魔の尿溜へ、僕とマヌエラが踏みいるつもりなんだ」

「なに」

と、カークもさすがに驚いて、

「じゃ君らは、あの大陥没地へ身を投げるつもりか……」

「そうだ、初志を貫く。だいたいこれが、僕の因循姑息からはじまったことだから、むろん、じぶんが蒔いた種はじぶんで苅るつもりだよ。マヌエラも、僕と一緒によろこんで死んでくれる。ただ、君だけは友情としても、どうにも僕らの巻添えにはしたくないんだ」

カークはマヌエラを振り向いた。彼女の目は断念めきったあとの澄んだ恍惚さを湛えて、にんまりと座間をみている。おそらく全人類中のたった二人として、悪魔の尿溜の底を踏んだときの二人の目はあの、ペンも想像も絶するおどろくべき怪奇と、また、恋の墓場としてのうつくしい夢をみるだろう。