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Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、ドドが獣か人間かということだ。売っていい動物か、売ってはならない人か……サア座間君どっちだろう」

言われて、座間の咽喉がぐびっと鳴った。しかし、ちょっと顫えただけでなにも言えなかった。

「人身売買……奴隷売買を……いまこの現代に口にする奴があるかね。それとも、ドドを人獣の児として――その場合を君はどう考える? 混血だ、おなじことだよ。ドドが黒猩々と人のまざりなら僕は、半黒、君は三分混血児だ。僕らが白人以下のものとして蔑視されるのも、君が、半分の獣血をみとめて、ドドを売れというのも……」

そのカークの言葉を身に滲むように聴きながら、座間はくらい海の滅入るような潮騒とともに、ひそかに咽びはじめていたのだ。

*

その一夜は寝床のなかで転々としながら、ついにまんじりともしなかった。マヌエラと、ドドの奇怪な行動を考えあぐめばあぐむほど、ますます頭が冴えて眠れるどころではなかった。

マヌエラのあれは、「ジキル博士とハイド氏」のように二重人格なのか――と、ますます糸のもつれが深まるなかで、座間は追及の鬼のようになっていた。それとも、ドドに同情を深めすぎた結果か? といって淑女を涜すような想像はしなかったが、もしやあるかも知れないドドの魔性が、恋情とともにマヌエラに絡みついたのではなかろうか。