Japanische Klassiker mit Furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme
二
おっ母さんも承知なんです」
「え、おかみさんが御承知だって?」
「宗さん……」
お雪は行燈に外向いて坐りながら、
「お父つァんは、あたしに婿を貰おうとしています。貴方も知っている八丁堀の相模屋さんの銀次郎さん。あの人から話があって、この月内には結納をする運びになっているんです、……だからあたし、おっ母さんと相談して家を出て来てしまったんです」
「それじゃあ尚更だ。話がそこまで運んでいるのに、いまお雪さんがいなくなったら親方はどうなると思います」
「いや、いや、もうなにも云わないで」
お雪は両手で耳を塞いだ。
二
「あたし十六の年に、おっ母さんから聞かされていたことがあります。宗さんがあたしの良人になる人だって……こんなことを云うのは恥しいけれど、あたしは今日まで、一日だってそれを忘れたことはないのよ。……今度の相模屋さんとの話だって、あたしが厭だと云い切れば、お父つァんだって無理にとは云わないと思うわ、ただ宗さんがあんなことから出入りしなくなったので、お父つァんはただ腹立ちまぎれに婿の話など始めたんだわ」
「…………」
「宗さん、もし、あたしが嫌いでなかったら、此処にいていいと云って下さいまし。