Japanische Klassiker mit Furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme
二
親の代から常に弟子の二三十人は使っている立派な株であったが、藤吉は職人気質の厳しい父の手で、弟子たち同様に普請場の鉋屑のなかから育てられ、大抵の苦労は経験して来ている。……だから、丁度いまから十二年まえ、一人娘のお雪が七つの祝をした年の冬、親兄弟を亡くした孤児の宗七を手許に引取ったときにも、
――孤児だからと云って差別をしちゃあいけねえ。ひねくれさせてもいけねえし、不憫をかけ過ぎてもいけねえ、皆と同じように、極めどこは極めて面倒をみろ。
と女房にも弟子たちにも云い渡した。
二
宗七は十三で佐野屋へ引取られたが、口数のすくない温和しい子供で、仕事もすばらしくよく覚え、十七八になった時は、もう立派に一人前の職人の腕を持っていた。
――こいつは当てたぞ。藤吉はすっかり喜んで、
――これなら他処からお雪の婿を捜して来るこたあねえ。と女房とも話合っていた。
すると十九の年の春、石町の富田屋という太物問屋の主人茂右衛門が訪ねて来た。藤吉にとっては親の代から大事な出入り先である。用があればむろん此方から出向くところを茂右衛門が自ら訪ねて来たので驚いて会うと、意外なことを聞かされたのであった。