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Japanische Klassiker mit Furigana

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しぐれがさ

人情武士道

山本 周五郎

Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

「……へえ」

「おめえの鯉は、一尾彫って十両が相場だ。石町さんは値に構わず欲しいとおっしゃる、……それをおめえ、お断り申したそうじゃあねえか」

「へえ、……申訳ありません」

「石町さんはそれでも是非欲しい、佐野屋おめえから頼んでくれとこう云われて帰って来た。……おめえも知っている通り、おいらにあ大事なお店だ。なあ宗七、おめえ気持よく彫ってあげて貰いてえが、どうだ」

「へえ、それあもう、……」

宗七は窮屈そうに、固く坐った膝頭を撫でながら、

「……親方のお口添えがなくとも彫りたいのですが……どうも」

「彫れねえのか」

「親方どうか……こいつは他処へお頼み下さるように」

「他処でいいなら石町さんでも頼みゃあしねえ、どうしてもおめえの鯉が御所望だから、おいらを呼んでまでそうおっしゃるんだ。おいらにも大事なお店だが、おめえにとっても富田屋は縁のねえお店じゃあねえぜ。そうだろう」

「……へえ」

「なにか気に入らねえことでもあるのか」

「いえ、いえ決して」

「じゃあ彫ってあげねえ、おらからも頼むからやってあげねえ、どうだ」

宗七は低く頭も垂れながら黙した。

佐野屋藤吉は大工である。