Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いりえのほとり

入江のほとり

正宗 白鳥

Lesen Sie 入江のほとり (いりえのほとり) von 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.430 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

も少し歳が老けると、足が弱ったり不精になったりして長旅が厭になるし、旅行の楽みというものが減ってくるからね。内地なら旅行費なんかいくらもかかりゃしない。千円もあれば半年ぐらい方々で気楽に遊んでられらあ」

旅行費に千円とは、贅沢の極のように勝代は思って、

「東京で暮すとすれば、見る物聞く物が何でも揃うとって、旅行なぞせいでもよかろうにな。東京でさえ年じゅういると単調になるじゃろうか。勝は去年の春から家の門の閾から外へ出たことは数えるほどしかないのじゃもの」

「わしは旅行しようとも学問しようとも思わんが、自分の計画を一度は成功しても失敗しても実地にやってみにゃ寝覚めが悪い。この歳までたった一度も自分量見でやったことはないんじゃから」と、才次は言った。

「何かおもしろいことがあるのかい」

「それはちょっと今言うわけに行かんのじゃが、自分の得にもならんのに漁夫らの世話を焼いてやってもつまらんからなあ」

「しかし、この村の漁場をよくして村を繁昌させるのはおもしろい事業じゃないか。食うに困らないで、そういう公共的の仕事をやってるのは愉快じゃないかなあ」

「いや他人のことだと思うと張合いがない。