Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いりえのほとり

入江のほとり

正宗 白鳥

Lesen Sie 入江のほとり (いりえのほとり) von 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.430 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

転げ落ちたノートは半ば灰になってひらひらしていた。

さっきから辰男の不注意を罵っていた父や兄は、火が消えて心が落着いてから、いちように彼れの方へ目を向けて問詰ったが、石のように身動きもしないで、堅く口を閉じているのに呆れて、しだいに相手にしなくなった。

畳を上げて汚れ物を片づけて、念のために二階の部屋部屋を見廻って、階下へ下りたが、誰も皆睡気を醒ましていて、子供までなかなか寝床へは入らなかった。

見舞に来た隣近所の者が帰って、表の戸を卸した後、草臥休めの茶を沸して駄菓子を食いなどして、互いに無事を祝して夜を更した。

「電気にしとけば、こんな危険はないのだがね」と、栄一が言うと、父は、

「電気は不経済なばかりじゃない、柱や鴨居へ穴を明けて家を台なしにするから考え物じゃ。今夜のようなことがあるとすると保険はつけといた方がええかもしれんが」

「辰の奴、何かろくでもないことをしでかしやせんかと思うとった。これからは夜遅くまでランプを点けておかせんようにしましょう。勝も他所へ行って辰一人が二階にいることになると不用心でしようがないから」と、才次は眉根を顰めた。

「しかし、こんなことはめったにあるまいが、とにかく今年じゅうには嫁を取らせて、別家させて、自分の始末は自分でやらせることにしたら、ちっとは普通になるだろう」