Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
いりえのほとり
入江のほとり
正宗 白鳥
Lesen Sie 入江のほとり (いりえのほとり) von 正宗 白鳥 (まさむねはくちょう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.430 Zeichen · 50 Bildschirme
栄一は妹の「実用会話集」に出ている日常の用語を久しぶりで口ずさんだが、勝代は兄の唇の微動を見入った。自分も二三年したらあんな風に巧みに操れるだろうかと広々とした気持になって、
「……田舎者よりゃ東京生れの人の方が英語の発音が早く上手になるんでしょう」
「なぜ? 同じことじゃないか」
「……田舎は日本語の発音でも下等で頑固じゃから、それが癖になってしまって英語でもすらすらと音が出しにくいんじゃないかと思うがな」
「そんなばかなことがあるものか。……勝も東京へ行って三月もすると、東京言葉を使って田舎者をばかにするようになるだろうな」栄一はそう言ってから、辰男に向って、「お前は今から学問したって追いつかんから、農業か何か実業をやってみい。そんな頑丈な身体をしているし、辛抱強いのに、机の前で萎けてるのはつまらないじゃないか。先日山から見た島を借りて桃を栽えても、後の泥山を拓いても何かできそうじゃないか。兄弟の真似をしないで、お前一人は泥まみれになって本当の田舎者になっちまうさ」
「そんなことはできやせんなあ、辰さん」と勝代は代って答えた。「去年二百円も出して、青年会の人が松を山へ栽えたんじゃけど、じきに枯れてしもうたのじゃもの、桃もつく処へはどこへでも栽えてるし、この辺の土地は衰微しるとも今よりようなりゃせんと勝は思う