Japanische Klassiker mit Furigana
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こうえんのはなとどくが
公園の花と毒蛾
小川 未明
Lesen Sie 公園の花と毒蛾 (こうえんのはなとどくが) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 18.574 Zeichen · 38 Bildschirme
七
そこから、広い、大通りをまっすぐにゆけば、やはりにぎやかだったが、裏町の方へゆく道は、前後とも、火影が少なくなって、暗く、溝のくぼみのように、さびしげにさえ見られました。ダリアの花や、カンナの花や、百合の花などが、カンテラの火にゆらゆらと浮き出したように照らされているのが、ちょうど艶麗な女が、幾人も立っている絵姿を見るような気がしました。そして、なかには、朽ちかかった花びらがあって、だらりと出した舌のように、ながく垂れているのです。
「この黒い花は、なんだろう?」
一本のひょろひょろとした、茎の頂に、重そうに咲いているのを指して、彼はたずねた。
「黒百合です。」と、商人は答えました。
彼は、黒百合の花を見て、魅せられたような気がした。ちょうどこのとき、女の黒い腹帯が頭の中に思い出された。しかし、気味が悪かったので、買わずに帰りました。その後になって、黒百合は、北海道辺に、まれにあるということを聞きました。あまり、縁起のよい花でないということも聞いたのです。
七
彼は、その後、いろいろの経験をし、また苦労をしました。たまたま、この公園にきて百合の花を見て、昔のことを思い出したのです。