Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

それを着て行かれるように、丁度盆時分からかけて暑い中を、私は早く寝て了ったが、独り徹夜をして縫い上げて、自分の敷蒲団の下に敷いて寝て、敷伸しをしてくれた。朝、眼を覚して見ると、もう自分は起きていて、まだ寝衣のまゝ、詰らなそうに、考え込んだ顔をして、静と黙って煙草を吸っていた。もう年が年でもあるし、小柄な、痩せた、標致も、よくない女であったが、あゝ、それを思うと、一層みじめなような気がする。それから新橋まで私を送って、暫時汽車の窓の外に立っていたが、別に話すこともなかった。私の方でも口を利くのも怠儀であった。

「斯うしていても際限がないから、……私、最早帰りますよ。じゃこれで一生会いません。」と、傍を憚るように、低声で強いて笑うようにして言った。

私は「うむ!」と、唯一口、首肯くのやら、頭振を掉るのやら自分でも分らないように言った。

それから汽車に乗っている間、窓の枠に頭を凭して、乗客の顔の見えない方ばかりに眼をやって静と思いに耽っていた。――彼地に行っても面白くないから、それで、またしても戻って来たのだが、斯うしていても、あの年齢を取った、血気のない、悧巧そうな顔が、明白と眼に見える。