Japanische Klassiker mit Furigana
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ちよこ(さん)
千世子(三)
宮本 百合子
Lesen Sie 千世子(三) (ちよこ(さん)) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.906 Zeichen · 54 Bildschirme
なつかない私を見れば両親だって頼りない様な眼附をしますしねえ、
女の母親なんかは私に気づかいさえして居るらしいんですもの。
「貴方が苦しいより以上にお母さんなんて辛い悲しい思いをしていらっしゃるに違いありませんよ。
この頃になって私はつくづく思うんです、
親の子供に対しての感情と云うものがどれだけ濃やかでどれだけ注意深い親切だかって事をねえ。
それで貴方子供はちっとも親になつかない、
まるで自分達にはなれた事だと思って考えて見たってハムレット以上の悲劇なんです、
私達が書き表しにくいほど複雑した心理状態と悲しさがこもってますものねえ。
だれでもがよくこの頃は親達を裏切った気持だって事を云います、
思想の違って居る事やなんかで少し位の事はあるかもしれないけど裏切るほどの気持にだれでもがなるもんでしょうか。
私は或る一つの悲しいいたましい『流行病』だって云うんですよほんとうに。
「じゃあ私もその『病』にかかったんだっておっしゃるんですか?
「そんな事どうだか私はわかるこっちゃあないじゃあありません。
私はねえ、貴方にまるで同情がないんじゃあないんですよ。