Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぼく
南北
横光 利一
Lesen Sie 南北 (なんぼく) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.591 Zeichen · 40 Bildschirme
三
と思った。そして、妻が反対したのに拘らず、彼は妻の実家を立て直して翌年死んだ。以後勘次の家は何事につけても秋三の家の上に立った。で、何物にも屈伏することを好まない青年の自尊心を感じることの出来る者達程、此の日の二人の乱闘の原因も、所詮酒の上の、「箸で突いた」程度のことから始まったと自然な洞察を下して、また酒盃をとり上げた。
併し此の噂は村の幾宵を騒がせた。そして、軈て来る冬の仕事の手始めとして、先ず柴山の選定に村人達が悩み始める頃迄続いていった。
三
まだ夕暮には時があった。秋三は山から下ろして来た椚の柴を、出逢う人々に自慢した。
そして、家に着くと、戸口の処に身体の衰えた男の乞食が、一人彼に背を見せて蹲んでいた。
「今日は忙しいのでのう、また来やれ。」
彼が柴を担いだまま中へ這入ろうとすると、
「秋か?」と乞食は云った。
秋三は乞食から呼び捨てにされる覚えがなかった。
「手前、俺を知っているのか?」
「知るも知らんもあるものか。汝大きゅうなったやないか。」
秋三は暫く乞食の顔を眺めていた。すると、乞食は焦点の三に分った眼差しで秋三を斜めに見上げながら、
「俺は安次や。