Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

なんぼく

南北

横光 利一

Lesen Sie 南北 (なんぼく) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.591 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

十三

そして、自分が預る「仏の利生」を、それだけ妹の方に分けられはすまいかと、今さら不安な気持が起って来ると、自分よりも先に医者を迎えに行ったお留の仕打ちに微かな嫉妬を感じて来た。

「何ぞ欲しいものはないか?」とお霜は安次に訊いた。

「結構や。」

「お前この間、銭持ってたの、どうしたぞ。それだけ欲しいもんでも買う方が好かろが?」

「火ん中へ燻べて了うた。」

「燻べた!」

「邪魔になって仕様がない。」

「たあいもない。どうや、あんな物燻べて何んにもならんやないか!」

「もう半分気が触れてるのやぞ。」とお留は云った。

二人は暫く安次の痩せ衰えた顔を黙って眺めていた。すると、どちらも同じように、病人が最早や自分達と余程離れた不思議な遠い世界にいることを感じて恐ろしくなって来た。が直ぐその後で、お霜は病人が紙幣を自分に預ってくれと頼んだとき、預っておけば好かったと思って後悔した。だが、お留は、安次に与えようとしてまだそのままにしておいた金包のことを思い出すと、今まで忘れていたのは結局自分に仏様がそれだけ授けて下さったのだと思って喜んだ。

十三

霜が降りた。夜が明け初めると間もなくその日は晴れ渡るであろう。