Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぼく
南北
横光 利一
Lesen Sie 南北 (なんぼく) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.591 Zeichen · 40 Bildschirme
九
でお霜が出掛けてゆくことには、余り親子争いをしたくなかった彼は、外見、自分も母親同様の考えだと云うことを、ただ彼女だけに知らせるために黙っていた。が、安次を連れて行くことには反対した。けれども、自分のその気持を秋三に知らさない限り、自分の骨折りが何の役に立つだろう。そう思うと彼には秋三の罵倒が眼に見えた。が、また自分に安次を引き受ける気持のある以上、敵の罵倒に反抗し得るだけの力は、自然出て来るであろうと思われた。
九
秋三の母はひと笊豆をむき終えた。そこへ姉のお霜は黙って一人這入って来た。
「姉やんか。丁度ええわ。あのな、生繻子の丸帯が出たのやが、そりゃ安いのや、買わいせな。」とお留は云った。
「それよりお前とこの秋って、どうも仕様のない奴やぞ。株内やぬかしてからに、わしとこへお前、安次みたいな者引っ張って来さらしてさ。お前とこが困るなら、わしとこかて同じこっちゃ。」
「秋ゃいくら云うても聞きゃせんのやして。あんな者の云うこと生しやいすな。」
「そうかて連れて来られたもの、黙っていられるかいな。」
「うちへ連れて来やいせ。何処かて同じこっちゃがな。なア姉やん、中古でな、ほんまに持って来いやが見せようか。