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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

見つかったら、常の庄吉で無くなっている庄吉は、それまでであった。

(手の無いのを胡麻化さなくちゃあいけねえが――)

庄吉が、土間へ、じいっと、出た時、一人の女が、店の間から、小走りに、奥の方へ

「未だ見つからないんだってさあ。何処へ逃げやあがったのだろうねえ」

と、云いながら、走って来た。

(ここへ逃げやがってらあ)

庄吉は、そっと炭俵へ凭れて、だんだんとぼんやりしてくる頭の中で、呟いた。そして、女が、奥へ行ってしまうと、目を閉じた。

「庄吉」

遠いところで、自分の名を呼ばれたので、眼を開くと

「判るか?」

(益満さんらしいが――)

と、その声から感じた。そして、そう感じた瞬間

(助かった)

と、思うと、声いっぱいに、泣きたいような、嬉しいのか、悲しいのか判らない気持が、起ってきた。そして

「ええ」

と、頷きながら、自分の横に立っている黒い影に

「あっしゃあ、駄目だ」

と、呟いた。

「今、手当をしてやる」

益満が囁いた。

「ええ」

益満へ、凭れかかりたかった。子供が、母親へ甘えるようにしたかった。

(こんなに、深雪を思っているんですよ。益満さん)

と、いって、益満から背を撫でてほしかった。