Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme

Aozora Bunko

自分で、突いたが、厚着のため、一寸、肌へ傷ついただけの疵が、それでも、安心すると痛んでいるのが、感じられてきた。

「一人かい」

と、次の間の女中に聞いて、小藤次は、足早に、お由羅の居間へ入って行った。お由羅は、腰元を対手に、双六をしていた。

「何か、用かえ」

「あの女のことで――」

小藤次が、坐ると、腰元が、賽を振る手を止めた。

「次は、梅ヶ枝かえ。お振り」

お由羅は、小藤次へ、振向きもしないで

「そうれ、大井川――ゆっくり、お休み」

「あの女のことで」

「寝首を掻かれんようにの」

お由羅は、濃い青磁色に、紅梅模様を染めて、蕋に金銀糸の縫いのした被布を被ていた。堆朱の台に、古金襴をつけた脇息に、片肱をつかせて

「調所の供養じゃと思うて、あれの、命を助ける程に、礼をいうなら、仏に申し上げや」

「ふむ」

小藤次は、腕組をして、賽のころがるのを見ていたが

「拙いな。一寸、貸してみな」

振る番に当った女が、賽を渡すと

「四の目と出りゃ、府中か。それ、こう持って、こう振るんだ――ほら」

註文の四が出た。

「まあ、お上手に、遊ばしますこと」

三人の侍女が、小藤次を見て称めた。

「そんなことだけが取柄」