Japanische Klassiker mit Furigana
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なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Lesen Sie 南国太平記 (なんごくたいへいき) von 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 493.291 Zeichen · 991 Bildschirme
と、思っても、朋輩に、それをいうのも、朋輩から聞くのも、厭なような気がした。そして、黙って立つと、朋輩達も、黙って立って、詰所へ入っても、人々は、失望と、怒りとで、口を利かなかった。お互に
(何うして、こうも、御不幸な、お方であろう)
と、感じて、暗い顔をして、じっと、腕組していた。
斉彬は、居間へ入って、前からと、後方からと、袴を、裃を、女中に取らせながら、次の間の近習に
「渡来物の、氷砂糖があったの」
と、いった。
「はっ」
近習が、襖のところで、手をついた。斉彬は、褥の上へ、坐って
「それを、白金へ、御見舞に持って参れ。そして、父上の御機嫌を伺って参れ」
「はっ」
近習が、襖の蔭へ身体を引くと、廊下の方で
「久光様、お渡りでござります」
と、いう声がした。
「ああ」
斉彬は、そう云って、眼を閉じて、肩で、大きい呼吸をした。女が、褥を持って来て、つつましく、斉彬の前へ敷いた。そして、暫くすると、足音がして、久光が、現れた。
「お疲れでござりましょう」
「うむ」
斉彬は、未だ、眼を閉じたままであった。坊主が、入って来て
「お薬湯」
と、云って、斉彬の膝のところへ、薬湯を置いて行った。