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Japanische Klassiker mit Furigana

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こきんしゅうまきのご

古今集巻之五

山本 周五郎

Lesen Sie 古今集巻之五 (こきんしゅうまきのご) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.482 Zeichen · 43 Bildschirme

Aozora Bunko

主計は黙って聞いてい、五郎太は手紙に書いたことを語った。

五郎太が初めに得た手掛りは、柳田良庵の話であった。良庵は同じ町医の川延玄斎から、杉江が妊娠していたということを聞いた。妊娠三カ月だったと聞き、そういえば死躰の始末をするとき、乳首が黒ずんでいたことを思いだした、と五郎太に語った。主計は妻が不妊を苦にしていたと云い、子が授かるようにと、灸寺へかよっていたこと、そのため半年ちかくも寝間をともにしていない。と云ったことを思い合せ、原因はそこにあると見当をつけた。

「おれは灸寺へいってしらべた」五郎太は殆んど冷酷な口ぶりで云った、「寺には療治に来た者の名を、その日ごとに記した帳簿がある。おれはそれを繰ってみたが、杉江どのの名は十月十七日から三日だけで、その後は一度も記してはなかった」

主計の顔が能面のように硬くなった。おどろきでも怒りでもなく、全身の力がぬけ、放心したような眼つきで、ぼんやりと天床を見あげた。五郎太は外科医が腫物を切りひらくように、ずばずばと事実を告げ、終りに、ふところから一冊の歌集を出してそこへ置いた。

「男の名は巻末にある」と五郎太は云った、「枕の下に置いて死んだ歌集だ、ここになにかあるだろうと思って、永井の留守に借りてゆき、端から端まで、たんねんに繰り返してみた」