Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わせいつばきひめ

和製椿姫

大倉 燁子

Lesen Sie 和製椿姫 (わせいつばきひめ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.221 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

彼女の心なんかを思いやっているんではないんですからね、そんな冷めたい人の手に返すなんて――」

私は青年の後ろに従いて、奥の部屋へ入った。入口には厚い天鵞絨のカーテンが下りていて、その隙間から見える部屋の中は実に眼の覚めるように美しかった。生花に囲まれたベッドの前には純白のレースの帳が半分ばかりしばってあって、彼女の疲れた顔に直接光線があたらないように工夫してあった。小さい部屋ではあるが、それは善美をつくしたもので、美耶子はレースの覆いのかかった羽根枕に満足そうな横顔をつけていた。

青年の足音に、ぽっかり眼を開けた彼女は、彼の方へ向いて両手をひろげた。彼は走りよって膝まずき、その細い手をとって唇を押しあてた。

彼女は赤い羽根蒲団を押しやって半身を起しかけた、がまた崩れるように横になった。彼女の着物は美事に刺繍のある水色のガウンであった。胸には一輪の椿の花をさしていた。ベッドの裾の方に控えていた小女が走りよって、恐る恐る蒲団をかけた。彼は小女の事を美耶子附きの侍女であると云った。その侍女も古風な洋服を着て、取りすましていた。

「この部屋の中では二六時中椿姫の劇が演じられています。