Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わせいつばきひめ

和製椿姫

大倉 燁子

Lesen Sie 和製椿姫 (わせいつばきひめ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.221 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

陽が暮れると彼女は稼ぎに出る、帰る時にはきっと札を握っていました。その金で二人は食物を買って暮したのです。

恰度十日目の晩でした。何んだか今日はお金がたんまり儲かりそうな気がする、お土産を沢山買って来るから待っておいでよと云って、いそいそと出かけて行きましたが、それぎり彼女は帰って来ませんでした。その翌晩も、次ぎの晩も、少年はまたぞろ飢え始めたのです。

後でわかった事ですが、折り悪しく闇の女の狩り込みに引っかかって、病院へ送られてしまったのでした。

それは少年の十一の時のことだったのです。

病院から彼女の友達が金を届けに来てくれた時には、彼はもうアパートにはいませんでした。

それぎり彼と彼女とは別れ別れになってしまいました。

数年後、和製椿姫の名で有名になっている彼女を彼はかいまみました。一度は歌舞伎座の入口で、それはプリンセスのような素晴らしさでした。もう一度は菅原好美の歌劇椿姫を観に行った時彼は彼女を見ましたが、いつも金持ちらしい数人の紳士に取り巻かれていて、遠くの方から眺めるだけで、言葉をかけることは勿論、近づく事も出来ません。しかし彼は何とかして会いたい、会ってアパートでの好意を謝したいものと思っていましたが、どうにも機会がありませんでした。